医科歯科連携は地域包括ケアシステム推進事業において取り組むべき重要な事業の一つとして挙げられています。
入院患者さんの中には、入れ歯の不具合や歯周病など口腔内の問題を抱えたまま入院を継続される方がいます。これまで病院スタッフは懸命に口腔ケアを行ってきましたが、歯科医による専門的な治療・処置が求められている状況がありました。
当院は歯科のない病院であり、歯科治療が必要な入院患者さんは、外出・病院への往診依頼などを通して歯科受診を行っていました。しかし、口腔内のトラブルを抱える方の多くは、移動が困難な方が多く、歯科領域の治療を受けるには困難な状況にあります。さらに、全身麻酔を受ける方の術後誤嚥性肺炎予防や化学療法を受ける方の口腔管理など、歯科領域へのニーズは高まる一方でした。そこで、医療圏を同じくする羽咋郡市歯科医との連携構築にむけての取り組みを行いました。
この度、羽咋歯科医師会からの多大なるご協力を賜り、公立羽咋病院と羽咋歯科医師会間で「公立羽咋病院 医科歯科連携」を立ち上げることができました。ここに至るまでに、ご協力いただきました皆様に厚く御礼を申し上げます。
◆◇連携の内容◇◆
1歯科スクリーニング検診(入院患者往診連携)
今回の医科歯科連携で新たに作り上げた「羽咋地区オリジナル」の連携体制です。
あらかじめ登録されている「コーディネーター歯科医」が月に2回、定期的に来院し、口腔トラブルのある患者さんを対象として歯科スクリーニング検診を行います。
検診によって義歯調整など、簡易的な処置で問題解決できる場合もあり、併せて検診に同席する看護師・言語療法士に対して今後の適切な口腔ケア指導なども行っています。
抜歯など歯科領域の専門的な治療が必要な場合、歯科医への往診依頼を行います。原則「かかりつけ歯科医」への依頼を行いますが、「かかりつけ歯科医」がいない場合、往診連携登録歯科医から患者さん・ご家族に決めていただいております。
歯科スクリーニング検診の運用帳票(3通):PDFファイル
①歯科スクリーニング検診依頼書:病院からコーディネーター歯科医への依頼書
②歯科スクリーニング検診結果書:コーディネーター歯科医が検診結果を記載
③歯科訪問診療の結果報告書:往診歯科医が診療結果を記載
2周術期等口腔機能管理(手術・化学療法・緩和ケア)
現在、運用に向けて準備中です。
現在は、1の歯科スクリーニング検診で、入院患者さんの化学療法前・全身麻酔前の口腔評価を実施しています。
3医科歯科連携人材育成への取り組み
医科歯科相互で、医科歯科連携を推進する上での人材育成を推進していきます。
口腔ケア実技研修会、歯科医からの講義などを通して、交流を深め、スキルアップを図っていきたいと考えています。